安室奈美恵 引退ライブで療育手帳問題勃発!運営が「悪」という声に疑問・・・

16日に歌手を引退した安室奈美恵さんが2~6月に開いたライブツアーで、起こった問題が今ツイッターで話題になっています。

転売やなりすましを防ぐために、販売は電子チケットのみとしており、入場の際には写真付き身分証による本人確認が必要となります。

その際に、知的障害者に発行される「療育手帳」を身分証として提示した人が入場を拒否されていたということで炎上しています。

チケット販売業務を管理する会社は謝罪し、代金を返還する方針を公表していますが、ネット上では「お金を返せば済む問題ではない!」といった声が相次いでいます。

しかし、これは本当に運営側が悪なのかどうかを考える必要がありそうです。

この記事では、あくまで私の個人的な考えから書いているものなので、反論等があるかと思いますが、予めご了承ください!

なぜ運営会社は、入場拒否をしたのか?

まず、気になる点としては、運営がなぜ入場拒否をしたのか、という点。

ニュースサイトによれば、以下のように記載されています。

チケット販売業務を手がける「ボードウォーク」によると、同社は障害者手帳のうち身分証として認めていたのは、身体障害者手帳と精神障害者保健福祉手帳の2種類だった。療育手帳を身分証として認めなかったことについて同社は「複数の呼称や様式があり、大規模コンサートにおける本人確認作業になじまないとの判断だった」と釈明している。
引用:zakuzaku by 夕刊フジ

どうやら「療育手帳」という身体障害者が持っている手帳を身分証として認められないと判断して、入場拒否を行ったようです。

「身体障害者手帳」と「精神障害者保健福祉手帳」の2種類は認められていたとのことですが、そうなると療育手帳がなぜ認められなかったのかを考える必要がありそうです。

「療育手帳」とは?

引用:千葉市

療育手帳は、知的障害者に都道府県知事が発行する障害者手帳のことです。
(政令指定都市にあってはその長、鳥取県鳥取市、岩美町、若桜町、智頭町、八頭町にあっては鳥取市長が発行)

この療育手帳は、上の写真のように名前や住所、そして顔写真が貼ってあるつくりになっています。(取得する地域によって若干形は異なります)

知的障害者および知的障害児が補助を受けるために必要な手帳であり、自閉症などの発達障害において、知的障害を伴う場合に取得することができます。

ですから、国が認めているもので、各自治体で発行しているという理解で良いのかなと思います。

実際に、ゆうちょ銀行やパスポート申請、市役所の戸籍申請等は療育手帳が本人確認証として利用できます。

療育手帳の身分証明書としての効力は?

安室奈美恵さんのライブで起こった問題の争点となるのは、療育手帳が身分証明書として認められるものか否かというところでした。

前述したように、確かに療育手帳は本人確認の身分証明書として認められることもあります。
しかし、運転免許証やパスポートのように、それ1点で本人確認書類として扱われることもあれば、保険証や年金手帳のように、2点揃って本人確認書類として扱われることもあります。

ここでポイントとなるのは療育手帳の身分証明書としての効力は”確実ではない”という部分です。

言い換えると、利用できな所も勿論存在するというわけです。

なぜ名前、住所、顔写真などがあっても運転免許証やパスポート程効力がないのかというと、

偽装問題が多発して悪用されているからです。
これまで、対策も行われてきましたが、これといって確実な対策がなされていないのが現状です。

なので、身分証明として確実に利用できる、という確約ができないわけです。

また、法で定められた制度ではないため、呼称も地域ごとに異なります。

青森県 愛護手帳
東京都 愛の手帳
さいたま市 みどりの手帳
横浜市 愛の手帳
名古屋市 愛護手帳

このように、「療育手帳」以外の表記の手帳が存在しています。
なかなか浸透しなかったり、認知されずらいのはこういった部分にも問題がありそうですね。

また、色んな手帳を見ていると、結構写真の部分が証明写真ぽくないのを貼っている人が見受けられます。

背景が派手だったりと、こんなのアリなの?と思うような写真があります。
療育手帳を見たこと無い人であれば、「なんだこれ?身分証明書なの?」となっても不思議ではないかもしれません。

ネット上の意見について

ネット上では、運営に対して様々な意見が飛び交っています。

そりゃそうですよね。
二度と見ることができない安室さんのライブが見れなかったんですから。

それは非常に辛いことだと正直思います。

しかし、これは果たして運営が悪いのか・・・?と疑問な部分があります。

運営の対応が悪かったというのはあるかもしれませんが、入場させなかったのは仕方ないとは思います。

もし、これで入場させてテロとか人命に関わる大きな事件が起きていたとしたら、どうでしょう?

絶対に「運営は身体障害者手帳と精神障害者保健福祉手帳しか身分証として認めてないのに、なんで入場させた?」って叩きますよね?

その挙げ句、”運営が入場させた理由は「最後のライブだから見せてあげたかった」”なんて新聞に載ったりするわけです。

運営はそれなりの責任があるわけですから、認めてないことを認めるわけにはいかないのだと思います。
ライブ会場であれだけの人の命を預かっているわけですからね。
そんなガバガバなセキュリティーではむしろ心配じゃないですか。

中には「無知な奴の勝手な判断で弾くなよ」なんて意見もありました。

しかし、無知だろうが元々手帳の存在を知っていようが、前述した通り、療育手帳は公的な物であっても”身分証明証として認められない”場合があるんです。
これは、予め事前に確認することもできたんじゃないかなと思います。

これだけ曖昧な手帳であることは知っているでしょうから、例え他のライブやコンサートで入場できたとしても事前確認をすべきだったと思います。
また、安室さんの大ファンで絶対に観たかったのであれば尚更ではないでしょうか。

確かに可愛そうではあるのですが、だからといって運営の落ち度かというと何か違うような気がします。

他には「これは障害者の差別だ!」なんて意見もありました。

これについては、ハッキリ言って入場させた方が「障害者差別」だと思います。
障害者だからおお目に見て入場させた・・・なんてそれこそ健常者と差別していることになります。

入場させなかったことはむしろ平等だと考えるべきではないかと。。。

さらに「もう一度ライブやれ!」とか「シークレットライブをやれ!」なんて意見がありました。

この意見には全然賛成できませんね。

安室さんが16日に全力をかけてライブをして、これまで集大成として綺麗に終わったのに、またやれと言うんですか?笑
これは、安室さんに対して失礼かと思います。

最後に

ここまで色々と書いてきましたが、今回の件は本当にお気の毒としか言いようがありません。
運営側も「療育手帳は認めない」と記載する優しさがあってもよかったのかなとも思いますし(あるグループのチケットには細かく記載があるそうです)
お客さんが一言確認の連絡する一手間をかけてもよかったんじゃないかとも思います。

ただ、この点を解決するには療育手帳の身分証明書効力を確実にするのがベストだと思うんですよね。
なので、正直これは国がしっかりと考えてとりまとめていかなければいけない案件だと思います。

運転免許証やパスポートと同様の効力にするとか、そうでなければ、療育手帳の扱いをわかりやすく明確化するとか。
それだけで、今回のような悲しむ人が一人でも減るはずです。

どうか、誰でもハッキリわかるものにして欲しいものですね。
そして、認知度を高める運動も同時並行で行ってもらえればと思います。

冒頭でも言いましたが、あくまで私個人の見解です。
勿論、違う意見があっても良いと考えています。

その旨、予めご容赦いただければと思います。

以上で終わります。
最後まで読んでいただきありがとうございます!

コメント

  1. 柏原 より:

    随分前の記事にコメントすみません。
    この問題は知りませんでしたが、随分とひどい対応でしたね。
    私は自治体の社会保障審議会に出席している身分で知らなかったのは恥ずかしい限りです。

    ところで、療育手帳は身分証明書とならない場合があるとありますが、正直ならない場合を知りません。古い話ですが療育手帳が制度化されて昭和48年に厚生労働省から各自治体宛に通知がいき周知されてきました。
    また、実態として療育手帳は国税や地方税の控除や免除に際して有効です。つまり税金の控除を証明される機能を持っているのに、その他で有効にならないとは考えにくいことは明らかです。

    また、障害者差別に触れられてますが、民間ではまだ努力義務ですが、明らかに障害者差別解消法に抵触しています。何故なら、障害者ということで排除する行為はいけないと定められているから。その通り、身体障害者や精神障害者はそれぞれの手帳で運営側が当時認めていることから、特定の障害者のみを排除しているのが明らかだからです。

    色々な意見があって良いと思いますが、事実は一つです。

    • ちぇぶ より:

      柏原様

      コメントいただきありがとうございます。
      また、色々ご指摘頂いたことで私も勉強になりました。

      ご意見に対して少しコメントさせてください。
      ※前提として否定しているわけではないことをご承知ください。

      >税金の控除を証明される機能を持っているのに、その他で有効にならないとは考えにくいことは明らかです。

      この記載についてですが、療育手帳は、官公署公的機関が発行した写真付の資格証明書であるため、仰るとおりだと考えています。
      ただ、私が言いたいのは、その認識が世間にあまり浸透していないことから、「身分証明書とならない場合がある」と記載しました。
      なので、療育手帳以外の本人確認書類を求めらるケースが現実にあるということです。

      どんなに、”証明される機能を持っているのが明らか”と言っても、現実に使えてないのであれば意味をなしておらず、障害者のためになっていないのではないでしょうか。
      ですから、もっと認知されるような活動が必要なのかなと私は思っています。
      また、証明書として扱うためにも、簡単に偽造できない仕様にするなどの改善も同時並行で大切ではないかと考えます。(今回の件を踏まえての改善事項)

      つまり、運営だけの責任というよりは、国全体でもっと取り組む問題なのではないかと伝えたかったのです。

      >障害者差別に触れられてますが、民間ではまだ努力義務ですが、明らかに障害者差別解消法に抵触しています。
      >何故なら、障害者ということで排除する行為はいけないと定められているから。

      こちらの内容については、私が記事内で言っていることと論点が別なのかなと感じました。

      そもそも、この件は”障害者だから排除した”という話ではないですよね。
      障害者だから排除したのであれば、柏原様の仰る通りで絶対にあってはならない行為です。

      私が障害者差別について触れたのは、この件に関しての「障害者差別だ!」という意見に対して、障害者差別したのではなくむしろ”平等な対応”だったのではないかという意味で記載しています。
      「障害者だから本人証明できなくても、大目に見て会場に入れましょう」なんてことになったら、それこそ”障害者”という枠組みで差別していることになります。
      私は、単にこれについて言及しただけであって、柏原様が仰る論点の話はしているつもりはありません。

      むしろ、柏原様が仰っている点については、私も賛成ですし考えは同じです。

      以上が、私の見解になります。

      このようなご指摘を頂いたということは私の文章力が至らなかったことが原因であると受け止め精進していく所存です。
      発信する側として、色々学ばさせていただきました。

      とても貴重なご意見ありがとうございました。
      また、何かございましたらご意見くださいますよう、今後共当サイトを宜しくお願い申し上げます。