【覆した話】アサヒビールの缶酎ハイ「もぎたて」はなぜ売れる!?大ヒットの理由を調査!

今、ホットな話題となっているのは「覆した」話です。
アサヒビールの缶酎ハイは「どうせ売れない」を見事根底から覆したストーリーです。

1週間で70万ケース達成で、予定の1.6倍ペースで売れているんだそう。

取引先の小売りや流通だけでなく、社内でも「売れるわけが無い」という雰囲気になってしまっていた
状況から、一体どうやってここまで盛り返したのでしょうか?

缶酎ハイ「もぎたて」の知られざる裏側をみていこうかと思います!

缶酎ハイは売れないが当たり前だった

アサヒビールは2001年にRTD市場へ参入しました。

RTDって何だろう?と思う人も多いかと思いますので、説明を記載しておきます。

RTD・レディ・トゥ・ドリンク(英語: Ready To Drink、RTD)は広義には購入後そのまま飲める缶やペットボトル入り飲料のことを言う。
お茶やコーヒー系飲料、カクテル、粉末状ドリンク、プロテイン飲料、ヨーグルト飲料、スムージーなど従来飲むために何かしらの手間が必要だった商品と区別する意味で用いられ、既にパッケージ内で出来上がっていてすぐ飲めることを表している。

狭義には購入後そのまま飲めるワインや蒸留酒、ビールをベースにした低アルコール飲料(アルコポップ)のことを指す。

明確な定義付けは無く日本でも缶チューハイや缶カクテルをはじめとした市販の低アルコール飲料のことを指して使われている。

ということです。

アサヒビールは参入したのはいいものの、なかなかヒット商品に恵まれず、鳴かず飛ばずの状況が続きました。
2013年にはなんと、過去最低の売り上げを記録したんだとか。

そんなこともあってか、取引先にも「どーせまた売れない」という印象を与えてしまう結果になり。
社内でもモチベーションの上がらない状況が生まれてしまったようです。

最低の記録を打ち出した2013年に、RTD事業部の宮广朋美(みやま ともみ)さんが新ブランド立ち上げに抜擢されます。
何を隠そう、宮广さんは「もぎたて」の生みの親であり、缶酎ハイが売れないというジンクスを大きく覆した救世主なんです。

どんな戦略で成功をおさめたのかみていきこうと思います。

缶酎ハイの弱みを克服

王道のフレーバーや、珍しいフレーバーなど様々試した結果、失敗に終わった経験から、まず原点に戻ることを決めた宮广さん。

ユーザーが缶酎ハイに抱く不満を徹底的に洗い出すことで何か見出そうと考えました。
今までにやったことのない規模のアンケート調査やインタビュー調査を納得のいくまで行ったそうです。

2014年に発売を予定していたのを2年も遅らせるほどですから、この新ブランドにどれだけ真剣に向き合ってきたかが伝わります。

調査の結果見えてきたのが、「人工的な味(雑味)や香りがある」という不満です。
ユーザーが求めている味は、居酒屋で出される「生搾りレモンサワー」のような果汁感溢れるもの。

多くの人がこのような不満を抱えていたため、ここさえ克服できれば道は開けるということになりますよね。
早速、宮广さんはここに狙いを定めて戦略を練ります。

新鮮さの追求!収穫から24時間以内に搾汁!

宮广さんが思いついたのは、収穫から24時間以内に搾汁したものを使えば新鮮さが保てるのではないかということ。

この発想は正解で、他メーカーの場合、基本的には収穫から3日程経過してから搾汁します。
というのも、収穫した果物がある程度たまってから搾汁する方が効率が良いからなんだそうです。

しかし、その分、新鮮さは失われ、ユーザーの不満に繋がってしまっているのです。

24時間以内の搾汁をどうにか成功させれば、完全に競合他社との差をつけられることは言うまでもありませんよね。

とはいえ、搾汁工場までの距離が近い農園を探すのは一苦労で、
条件を満たす果汁メーカー探しに頭を悩ませたそうです。

特許申請中!「アサヒフレッシュキープ製法」とは?

搾汁以外にも悩みの種だったのが、衛生的かつ酸化させずに香味をどう保つかということ。

材料に酸化防止効果のある素材を投入するまでは良いのですが、一番のポイントは仕上げの殺菌温度です。
高温殺菌をすると香味成分を劣化させてしまい、かといって低温すぎるとしっかりと殺菌ができずに微生物が残ってしまいます。

業界内では高温殺菌で失われる香味成分は「仕方ない」というのが普通であるため、温度を少し下げるといった実験は今までに存在しません。

過去のデータなどはないため、実験は何度も何度も繰り返し行われましたが、ようやく理想の温度が見つかったのです。

それが「アサヒフレッシュキープ製法」
この製法は、業界初の製法となるため、現在特許申請中とのこと!

ユーザーの満足を追い求めて見事成功を掴み取りました。

「アサヒフレッシュキープ製法」は実験結果によると、なんと他社製品の10倍も香気成分濃度が高くなるんだそうです!
これは素晴らしいですよね!

缶酎ハイの中で一番「生搾りレモンサワー」に近い商品ということになります!

自慢の味をとにかく押し出した!

こうして開発された「もぎたて」は、アサヒビール過去史上最大規模のサンプル50万本を配布し、取引先にも積極的に
味の違いをアピールしました。

試飲した取引先からは好感触の返事が多かったようで、確かな手応えがあったんじゃないでしょうか。

結果的に、2016年4月5日の発売からわずか1週間で70万ケースという、RTD事業最大の販売記録を打ち立てました。
まさに根底の根底から「覆した」わけです!

業界の常識を破り、新しいチャレンジや継続的名努力をした結果ですよね。
素晴らしいサクセスストーリーです!!

最後に

もぎたてに関して、宮广さんは「まだまだ進化できる」と話しています。
缶酎ハイに新たな旋風を巻き起こしてくれそうな気がしますね!

今後は、フレーバーの種類も定期的に拡充し、今年度は1100万ケースの販売を目指すとのことです。