昨年3月に乳がんの手術を受けた女優の南果歩さんが、日本対がん協会、朝日新聞社が主催の乳がんの啓発を目的とする「ピンクリボンシンポジウム2017」で講演を行いました。
その内容を報じた記事が、患者や医療関係者の間で波紋を呼んでます!
なんと、日本乳癌学会の乳癌診療ガイドラインで推奨されている治療法をストップし、糖質制限などの代替療法を行っていることが報じられていたからです。
様々な問題が浮上しているので、色々と調べてみました!
目次
乳がんの治療方法とは?
近年では、「乳がん」への意識が高まっており、聞いたことがないという人は殆どいないでしょう。
しかし、治療方法にどんなものがあるのか知っている人はすくないのではないでしょうか?
ということで、まずは乳がんになった場合の治療法をみていこうと思います。
乳がんといっても、種類がいくつかあり、女性ホルモンの影響を受けて増殖するがんや、HER2という特殊なたんぱく質が増殖に関わるものがります。
当然、患者がどの種類のがんになっているのかをがん細胞から調べます。
この結果からどういった治療方法が適切なのかを見極めることになります。
女性ホルモンの働きを妨げる抗ホルモン薬を使用する場合であったり、HER2が関わるがん細胞であれば、分子標的薬「ハーセプチン(一般名・トラスツズマブ)」を使うなど使い分けが必要となります。
HER2が関わる乳がんというのは、これまで治りにくいがんとして知られていましたが、医学の発達で「ハーセプチン」が誕生し、治療が成功率が上がるようになりました。
ガイドラインによれば、手術後にこのハーセプチンを抗がん剤と併用し、ホルモン療法を最低5年続けることが推奨されています。
南果歩はなぜ推奨されている治療をストップしたのか?
南果歩さんの状況からすると、「女性ホルモンもHER2も影響するがん」であると推測されています。
となると、前述したように、手術後にハーセプチンを抗がん剤と併用し、ホルモン治療も長い期間しなければなりません。
しかし、南さんは、それをストップさせたといいます。
なぜ、標準治療をストップさせたのでしょうか?
医師によれば、副作用で血圧が上がったことがストップの理由の一つに挙げられるようです。
その後、主治医とじっくりと話し合った上で、南さんが個人的に決断をしたとのこと。
確かに、ホルモン療法の副作用が強く出る可能性もありますし、ハーセプチンに関しては脱毛を伴う抗がん剤と併用するのが基本になってくるので、副作用を避けて受けないという選択肢もあります。
女性であれば、この副作用は確実に悩む部分だと思います。
特に、女優である南さんにしてみれば、副作用があるほうが辛いのかもしれません。
こればっかりは、その人の意見を尊重してあげることが良いでしょうね。
科学的根拠のない治療法とは?
今、注目を浴びているのは、南さんが行っている”代替療法”
通常であれば前述してきた標準治療の方法を続けていくわけですが、南さんはストップさせ、全く別の方法を行っています。
代替治療の内容は以下になります。
サプリメントを飲み、「がん細胞は低体温で繁殖しやすい」として「代謝を上げて冷え性を治す」ようにしたり、「がん細胞が糖質を好む」として「炭水化物を控え」たり、放射線治療の皮膚への影響を抑えるため「エミュー鳥のオイル」を使ったりしている
一見、何も知識のない私達からすれば、「そんな方法もあるのか~」ぐらいにしか思いません。
しかし、「低体温ががんを増殖させるから体を温めたほうが良い」とか「糖質を制限すると良い」というのは科学的根拠は全くないんだそうです。
となると、個人のコンディションに合わせて標準治療をストップさせることについては良いとしても、代替治療は治療になってないのではないでしょうか。
根拠がなければ、気の持ちようみたいな感覚で行っていることになりますよね。。。
南さんがなぜこの方法を続けているのか不思議でなりません。
南果歩さんが与える影響
この話題で一番重要なことは、南果歩さんが与える影響です。
というのも、 南果歩さんが「一般人に影響力のある著名人」であることに他なりません。
身の回りの人だけに話しているならまだしも、講演会のような場で不特定多数の人に話すというのは危険が伴います。
全く信じない人もいるでしょうが、「著名人が言っているならば・・・」と信じてしまう人も少なからずいるでしょう。
そうした場合、健康的被害に遭う可能性がでてきますから、とても危険な話です。
主催者側にも問題が?
現段階で、主催者である日本対がん協会は、南さんが話す内容を事前に把握していなかったという問題が浮上しています。
まさか、南さんが標準治療の中止や代替療法について話すかどうかは、シンポジウムの担当者も事前に把握していなかったといいます。
日本対がん協会は、「代替療法などエビデンス(科学的根拠)のない治療法は推奨していなく、そうした立場であることは出演にあたって事前にお伝えしていました」と説明したようですが、南さんは代替療法について詳しく話し始めたようです。
しかしながら、その日、主催者側からは科学的根拠ない旨などの説明は一切なかったんだそうです。
前もってしっかり説明をしていたのであれば、南さんが代替療法を話したところで注釈を入れるなどの対応があってもよかったかもしれませんね。
ただ、南さんの講演の内容からすれば、主治医と話し合った上で個人的に決めたことであって、他人に勧めるような話しぶりではなかったとのこと。
記事で報じられたという危険性
前述の流れをみていると、当日、その場にいた人たちは勘違いするような内容ではなかったという言い分に見えます。
ですが、記事として報じられてしまったわけですから、問題は全て解決できていません。
記事内に南さんの代替療法が記載されていれば、信じてしまう人も多くいることでしょう。
そして、なによりも南さんの講演した時のニュアンスは読者には詳細に伝わることはありませんから、誤った情報が広まる可能性もでてくるということになりますね。
最後に
南さんが講演会で代替療法を詳しく話してしまったがために、こうした問題に発展してしまいましたが、あくまで個人が医者と話し合って決断し、実行していることだということを理解しておいてください。
科学的根拠がないということですから、実践するのであれば、自己責任になります。
ちなみに、「責められるべきは本人ではない」という筆者もおりますが、個人的には南果歩さんも少し軽はずみな行動であったと思います。
メディア云々もそうなのかもしれませんが、科学的根拠のない治療法を不特定多数に対して発してしまうのは、発言する人の責任になるのではないかと。
あくまで、私個人の意見ですが。
今や、乳がんは多くの人が意識する病気の一つでもありますから間違った情報が流れないことを願います。