香里奈「嫌われる勇気」にアドラー心理学会が放映中止要求も「放送中止は考えておりません」と断言

毎週木曜よる10時に放送されている女優の香里奈さん(32)主演のフジテレビ系ドラマ「嫌われる勇気」が波紋を呼んでいます。

なんと、日本アドラー心理学会からその内容に抗議を受け、放送中止を要求されているんです!

私も毎週見ていますが、「アドラー心理学ってこういう感じなんだ?へぇ~。」と思いながらなんとなく観ています。

個人的には、椎名桔平が演じる「大文字 哲人」が好きですね!

大文字先生は犯罪心理学を専門とする、帝都大学文学部心理学科の教授で、毎回ドラマの中でアドラー心理学とはどういうものかを解説してくれます。

また、香里奈さん演じる刑事の庵堂蘭子の言動はアドラー心理学に通ずるところがあり、蘭子とペアで行動させられている青山に向けて、大文字先生がアドラー心理学を説くという流れ。

今回の騒動は、作中の肝になるアドラー心理学が日本アドラー心理学会の見解からすれば、間違っているのではないかということなのです。

私も抗議文書は読んだので、それを踏まえてみていきましょう。

「嫌われる勇気」とは?

「嫌われる勇気」は岸見 一郎, 古賀 史健によって書かれたアドラー心理学についての書籍です。

香里奈さん主演のドラマの原作といった感じでしょうか。

『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』
岸見 一郎 (著), 古賀 史健 (著)

電子書籍はコチラ嫌われる勇気自己啓発の源流「アドラー」の教え【電子書籍】[ 岸見一郎 ]

この書籍は、登場人物の大文字先生(教える人)と青年(質問する人)の対話を通して、アドラー心理学とはなんぞやというのをわかりやすく解説してくれているものです。

アドラー心理学は、「どうすれば人は幸せに生きることができるか」という哲学的な問いに、きわめてシンプルかつ具体的な“答え”を提示してくれるので、人間関係が複雑な現代社会に生きる人たちにはとても興味をそそる題材とも言えますね。

ドラマ「嫌われる勇気」では香里奈さん演じる刑事の庵堂蘭子が事件解決と共に、独特な人との関わり方を見せます。

毎回、庵堂蘭子の言動や振る舞いが誰かの心に響き、自らを変えられるといった要素も含んでおり、心理学の面白さなどがわかる作品になっています。

日本アドラー心理学会からの抗議とは?

騒動の発端となった日本アドラー心理学会からの抗議ですが、ネット上では「放送中止」といった言葉が目立っています。

しかし、私も抗議内容を読みましたが、放送中止という要求はあるものの、大幅な脚本の見直しをお願いしたいといった内容になります。

詳しい内容はホームページに掲載されているコチラをお読みください。

ドラマの作中において「他者の評価でもって自分の価値を判断する必要はない」という考えが、庵堂蘭子にはあり、それに基づいた言動をします。
これに関しては、アドラーの提唱していることで、日本アドラー心理学会も認めている内容です。

しかし、アドラーの教えには続きがあり、「そういうことにとらわれずに、『他者の幸福のため』に自分がすべきことをする」と説いているのです。

庵堂蘭子にはそれが欠落してしまっているのではないか?ということです。

この抗議文を読んで、私も確かにと頷いてしまいました。
ドラマを見ていると、庵堂蘭子はアドラー心理学に基づいた行動をし、常に合理的な考え方をしています。

しかし、『他者の幸福のため』というような感じも受けませんし、「他者の評価でもって自分の価値を判断する必要はない」ということにとらわれている印象があります。

また、無愛想な人間なのは仕方のないことですが、妙に棘があるというか、無駄に人へ不快感を与えるような部分もあります。

要するに、『他者の利害』という見方が完全に欠落しているんですね。

抗議文にもある通り、「自分の行為の結果が他者にどういう影響を与えるかについて、いつも配慮をしなければならない」という部分がドラマではしっかり描かれていないのかなと。

他にも、ドラマで庵堂蘭子は、「私はただ、感じたことを口にしているだけ」の人物として描かれているが、それはアドラーの言う「相互理解のための努力」を放棄しているとしているなどの指摘も挙がっています。

しかも、専門家のアドラー心理学指導者野田俊作氏も「はアドラー心理学とは言えません」とコメントをしています。

フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称される、アドラーの思想は、学問にもなっているわけで、ここは誤った印象を視聴者に与えるのは好ましくはないかもしれませんね。

フジテレビ「放送中止はない」断言

フジテレビ側は、放映中止要求があったものの「放送中止は考えておりません」と回答しています。

というのも、ドラマ制作にあたってアドラー的な解釈に関しては、日本アドラー心理学会の認定カウンセラーや顧問もしている岸見氏がチェックを入れており、問題はないとの見方のようです。

ただ、日本アドラー心理学会は、岸見氏にも事情を聴いたうえで、抗議することになったそうなので、いまいち前後関係がわかりませんね。

フジテレビの企業広報部としては

「ドラマ『嫌われる勇気』は、原案書籍『嫌われる勇気』を下地に、ドラマというエンターテインメントの要素と、アドラー心理学の描写のバランスを考えつつ、原案書籍の著者に脚本を監修して頂きながら制作しております」

と言っているようなので、あくまで岸見氏の書籍に則っているという部分を主張したいようです。

ですが、「放送中止は考えておりません」としながらも、今回の抗議内容も参考にして今後の脚本に生かしていくといった意向も示しているようなので、完全に反発するといった感じではなさそうですね。

この騒動がどのような着地を見せるかわかりませんが、丸くおさまることを願っています。