京都大の研究グループが発見したという新化合物「アルジャノーン」が注目を集めています。
このアルジャーノンは一体何かというと、「胎児期にダウン症を改善できる可能性がある」ということのようです。
もし、実現すれば、出産において選択が増えることになります。
というこで、今回はこのアルジャノーンが今後実用化になれば、今までとどう変化があるのか?という点と、実用化するにはどんなハードルを越えなければならないのかをみていきたいと思います。
「アルジャノーン」の可能性とは!?
アルジャノーンを研究したグループの京都大学の萩原正敏教授は、「将来的には薬の開発を目指すが、妊娠女性への投薬や胎児治療は慎重にならざるを得ない」と言います。
確かに、実用化にあたっては、どうしても妊婦に投薬して影響が本当になく、安全なものであるのか、胎児に影響はないのか、といったところが非常に重要になってきます。
人の命に関わることですから、何度も研究が重ねられることでしょう。
この結果、実用化されれば私達にもたらされるものも大きいのは確かです。
なぜなら「胎児期にダウン症を改善できる可能性がある」から。
近年では、ダウン症は、妊婦の羊水や血液から胎児の染色体異常を調べてることで判明する技術があります。
新出生前診断の受診者は毎年増え続けており、開始から4年間で計4万4645人が受診したそうです。
しかしながら、ダウン症であると判明した妊婦94%が人工妊娠中絶をしているという結果がでています。
出産に際して多くのひとが、気にしている部分であることがわかります。
もし、「アルジャノーン」が実用化されれば、こうした診断結果が出ても「産む」か「中絶」かという選択だけでなく「改善する」という選択肢ができます。
この選択肢は妊婦にとっても大きな意味を持つと思います。
誰だって、お腹に宿った命を中絶したいなどとは思いません。
しかしながら、ダウン症という障害を背負わせて産むことに悩み、苦しむことでしょう。
そこへ、「改善できる」という新しい道が開けるわけです。
実用化は困難!?
そんな新しい道を開いてくれる「アルジャノーン」ですが、実用化への道のりはとても険しく大変なのです。
将来的には第三の選択肢の可能性を示すために今も研究が行われてはいますが、副作用があるかどうかなど不明な点もあり、まだまだ解決すべき問題が山積のようです。
アルジャーノンは強い毒性がないのは分かっているそうなので、胎児への投薬で母親を危険にさらさないかなどをクリアすれば実用化に一歩近づくことができるでしょう。
そして、難しいハードルはもう一つあります。
それは「倫理面」。
これまで、新出生前診断によって「産むか中絶か」という議論が度々されてきました。
これは、「命の選別」につながるという見方があるからです。
アルジャーノンは第三の選択肢を与えてくれるので、こうした命の選別となるハードルを取っ払うことはできますが、新出生前診断によってダウン症であるかどうかを確認するのは変わりません。
第三の選択肢が増えたというだけで、結局は「中絶」を選ぶ人もいることでしょう。
また、これによってダウン症に対する偏見が改善されるかなども考える必要がでてきます。
良い試みに見えても、反対意見というものは必ずありますし、倫理観というのが加わってくるとなかなか一筋縄では実用化が難しいかもしれませんね。
ダウン症は産むべきか?産まないべきか?
アルジャーノンによってダウン症改善が見込めるという可能性がでてきたわけですが、「改善」というだけで完全に良くなるかどうかはわかりません。
その際、結局のところ、産むか産まないかの決断に迫られることと思います。
未だに、この議論は至るところで成されるわかですが、この決断はどうするべきなのでしょうか?
「人の尊い命であるから事前にダウン症と分かったからといって中絶すべきではない!」という意見もあれば
「ダウン症で産まれてくるとわかっていて、産むのは子供にとっても可哀相ではないか!」という意見もあるわけです。
どちらの主張も仰るとおりではありますね。
個人的な意見ですが、正解は無いような気がします。
ダウン症でも一つの命だから産みたいと思う人は、しっかりと育てることもできるでしょうし、子供も障害を抱えながらも幸せでしょう。
しかし、「ダウン症だから産みたくない」と思う人に無理やり出産させた所で、きっと誰も幸せにはなりません。
一番辛いのは産まれて来た子供です。
親にも鬱陶しがられ、やがて自分に障害があることを恨みさえするかもしれません。
そうであるならば、産まないほうが良いのかなと思います。
また、どうしても親の方が先に天国に行くわけですから、残していくのにはとても心配なことでしょう。
私の意見を述べましたが、こうしたデリケートな問題は、様々な意見があるでしょうし、あって当然だとも思います。
そして、その色んな意見を否定しようとも思いませんので、予めご理解ください。
まあ、実際のところ、未だに子宮外妊娠のような人工授精にしても賛否両論あるくらいですからね。
「人が手を加えるのはおかしい」という意見や「子孫を繁栄のために技術を駆使しても構わない」という意見。
これも正解が出てこない論争でしょう。
どちらも、間違っているわけではないと思います。
ただ、昔にくらべて女性は社会進出をして子供を産めない体になりつつあるので、こうした技術で補うというのは仕方の無いことなのかなと私は思っています。
最後に
少し脱線したりしましたが、この「アルジャノーン」の研究が進み、実用化すれば女性にとっても心強いでしょう。
近い未来、中絶する人が大幅に減る時代がくるかもしれません。
これは、命を大切にするという観点からみれば、とても素晴らしいことだと思います。
京都大の研究グループに期待です!